2005年9月1日から、9月30日までの一か月間、六本木ハートランドで開催されたハワイをテーマにしたデジタルアート作品展「Sweet Conversation」。3人のアーティスト達にハワイのこと、作品のテーマのことなど、興味深いお話をお伺いしました。
五野マサヒロ
1963年東京都品川区生まれ。
13歳の頃からサーフィンを始め、サーフカルチャーの聖地であるハワイに思いを寄せていく。
東京品川「三井金属高輪寮」建設工事現場に長さ45m高さ3mの壁画を作成し、フジテレビニュース番組「スーパータイム」で紹介される。
広告代理店で勤務した後独立。現在の基盤となるSPデザイン会社ハドウインクルード設立。現在デザイナーとして活躍する一方で、ハワイや自然にインスパイ アされたグラフィック、オブジェ、壁画等を創作する。
03年白金台瑞聖寺に壁画を作成し、最近では自身の個展を開催する一方で、企業のメインビジュアルに作品を起用されている。
平山ジロウ
1967年埼玉県浦和市生まれ。
ファッションフォトグラファーのアシスタントを経て大手広告制作プロダクション写真部に勤務。約12年間、多くの企業の広告制作・撮影に携わる。
1999年独立しgravity graphicsを設立。
広告写真(人物・商品)を中心に幅広い撮影活動を展開する一方、撮影セミナー講師を行うなど、その活動の場をひろげている。
2005年フォトイメージングエキスポ(東京ビックサイト)キヤノンブースで10人のアーティストの一人として作品が展示される。
Satobo
1958年 北海道上磯郡上磯町生まれ。
デジタルアートの全く新しい分野で、"アコースティック・デジタル・アート" と呼ばせて頂いております。フルデジタルであって、デジタルを感じさせないアコースチィックな響きを持つアートです。一つの作品には300点以上もの高画 質デジタル写真が、コンピューター上で合成されております。私は、解りやすいハワイ諸島の風景をモチーフに、創造主の御業である自然の美への恐れを表現致 しております。2005年は、海外において数々のアワードの獲得し、世界18都市の展示をこなしました。この新しい様式が、海外のアートの世界で急速に認 知されつつあります。このように、2005年中、私の"アコースティック・デジタル・アート"は、札幌から世界に向けて、大自然の美とパワーに対する畏敬 の念に満ちあふれた証言を、ハワイをモチーフに日々続けております。

Sweet Conversationウェブサイト他より)

 

ハワイを愛する3人のアーティスト
まず最初にアップするのが大変遅くなってしまったことを3人の方にお詫びしなければなりません。
9月の末にインタビューさせていただいたのに……
六本木ヒルズで3人展を開催している時にお話を聞かせていただきました。
その時と時間がたった今とでは違う部分もあるかと思いますがお許しください。
しかし3人の方々のハワイに対する想い、作品に対する想いは充分に伝わると思います。
近いうちに読者の皆さんが作品をご覧になれるチャンスを作りたいと8011でも考えています。

「3人の出会い」


−最初は皆さんのプロフィールからお願いします。どなたから行きましょうか?
五野じゃ あ僕から行きましょうか。以前、8011Your Storyでもお話させていただいたのですが、簡単に。僕がハワイと出会うきっかけは、子供の時から茅ヶ崎でやっていたサーフィンですね。サーフカル チャーへの興味から自然にハワイにも興味を持つようになって、友人のハワイ移住があったりして、年に何回かのハワイ行きを繰り返すようになりました。そし て、ローカルの人と出会ったり、話をしたりしているうちにどうしても、この状況を絵にしたいと思ったのが作品を作るようになったきっかけです。
学生時代から壁画を描いたり、アーティスト活動はしていましたが、今回の作品のような、サーフカルチャー、ハワイをモチーフにし始めたのは3年ほど前です ね。


−それでは次に平山さんは?
平山僕は広告写真を仕事としています。
その仕事の中で何回かハワイに行っていました。でも、あまりハワイを理解してはいなかったですね。日本人が大勢いるワイキキというイメージしかなくて、そ れほどよい印象ではなかったですね。ところが、仕事の時間が空いたときに撮影コーディネーターの方に観光名所以外のところに連れて行ってもらってからは印 象が一変してしまいました。ハワイの「奥深さ」みたいなところに触れてしまったんですね。
おもしろいのは、ハワイなどへロケに行きますと、スポンサーはタイトに仕事をつめて盛りだくさんのカット数を撮るという強力なスケジュールを作るんですけ れど、それでもなぜかハワイは疲れないんですよね、不思議なパワーがあるというか、一日中早朝から日没まで撮影をしたり、キツイ移動をしたりして考えられ ないようなスケジュールで精力的に動いて仕事をして、しかも夜も食事に連れて行ってもらったりしてもぜんぜん疲れないという、逆に癒されて帰ってくるとい うことが何度もあって、個人的にもハワイが好きになっていったんですね。
いろいろスナップ的に撮りためていたものもありましたが、今回はSatoboさんと五野さんとキャノンの仕事を通じて出合って、その会話の中でなにげなく ハワイの話になっていったのがだんだん大きくなっていって、キャノンの人にもプッシュされて、具体的にこの機会を与えていただいたので、テーマを持って作 品を作ろうかなと思ったんです。それにあたってハワイのスピリチュアルな部分に興味を持って本をたくさん買って読んだりして、ますますおもしろいなと思っ て。島によってぜんぜん違ったりとか、ハワイ島には行ったことがなかったので、今回はハワイ島へ行って撮ろうかなと思ったんです。ハワイの写真を撮ってい る方はたくさんいらっしゃいますよね、もちろんキラウエアの火山の火の近くまで行って迫力のある写真を撮る方もいるし、短い期間でなんとか作品を制作する ということで、おもしろいものが撮れないかなと。ハワイを想像して見に来た方の期待は裏切ってしまったかな、というような作品なんですけれども、逆にハワ イ島というのはこういう土地ばかりなのでリアルなんじゃないかなと。今回はこういうテーマに絞って作品を作りました。


−Satoboさんは?
Satobo:僕 はうちの家内が非常にハワイが大好きで、それでだまされたような感じで行っていたんですね。ハワイって買い物につきあったりするのはかったるいけれど、言 語的にそれほどストレスのないところだな、という感じでした。日本人の方もたくさんいるし、お年寄りの中には日本語を話せる方もたくさんいるし、ハワイは どこへ行っても言語の面ではアメリカの本土へ行くよりもストレスをぜんぜん感じなくて、いいな、じゃあまた行こう、また行こうって年に3回ぐらい、ハワイ ばかりに行っているうちに、デジタルカメラを買ってはじめて写真を撮りだして、ああ、なかなかいいもんだなと、フォトショップでこういう合成が出来るとい う事を知ったのが4年ぐらい前のことです。それでもう少し大きなデジタルカメラを買ってみよう、と思ってはじめたのがこれですね。


−もともとはミュージシャンだったのですか?
Satobo:ミュージシャンを目指していたんですけれど、やはり黒人の人には体力的に絶対かなわない、リズム感にしても。僕に与えられた「何かを表現する手段」は音楽ではないな、という事がわかったのでやめたんです。

−アーティスト活動をはじめられたのは?
Satobo:3年ぐらい前ですね、正確には。フォトショップでいろいろ合成することによって、あ、もしかするとこれが僕に与えられた表現手段なのかな、ということに気づきましたので、それから猛進したということですね。

−3人の出会いというのは何だったんですか?
Satobo:去 年ですね、キャノン販売の上野さんという方がいらして、実際には機械を売る方なんですけれど、機械でいったい何ができるのか、という文化的な事に非常に興 味をもっていらっしゃる方で、我々と知り合うことによって、「ああ、すごい事をやっているね、俺たちの機械を使ってもらって嬉しいよ」というような出会い がそれぞれあって、その3人を上野さんがつなげてくれた、というのが今回です。

−会った時にハワイの話になったのですか?
五野:全員ハワイ好きだったんです。音楽でもつながっていたし。僕はちょっとウクレレをかじっていて、Satoboさんはサックスで平山さんはバンドをやっていてベーシストだし。上野さんもバンド活動をやっていて。

平山:共通して音楽好き、ハワイ好きという。

Satobo:普段顔を見て話をしていても見えないものが内側にありますよね、それがお互いに確認できる仲なんです。

五野:いい表現ですね。それでみんな「ハワイいいね」って言って根底にそういうものが流れていて、何か形にしたいねということは前からあって、たまたまこのチャンス、ハートランドとのセッションが実現したという感じです。

−同じハワイをモチーフにしていて、お互いの作品をどんな風に感じていますか?
Satobo:去年もこの同じ場所で一度個展をやらせていただいたのですが、その時は自分のカラーでやったんですけれど、今年に関しては3人なんで、それぞれが、「平山さんがハワイ島やったんだから、じゃあ僕はカウアイ島にしよう」というような感じで、カウアイ島を中心にして。
ハワイチェーンの全体の歴史を見ると新しく土地が生まれるハワイ島、そして一番安定した土地のオアフ島、その安定の中にはパラダイスのような人間の生活が あってそこのところは五野さんが表現して、僕は一番古いカウアイ島、浸食されている上手な歳の取り方、みたいな部分に着目して、分類が上手にできたという 感じですね。

平山:僕 が一番若い島を撮って、Satoboさんが終焉を迎えつつあるようなカウアイ島を一番色鮮やかに飾ってくれて、五野さんが今のハワイの安定したカルチャー がまっさかりなところを表現して、セッションとして非常に上手くいったなと思うんです。五野さんの作品とかの色彩とか色使いは大好きですし、僕の周りの人 に五野さんの作品を欲しいという人もたくさんいます。Satoboさんが4年間ぐらいでこれを作ってしまう技術、僕はずっと写真合成という世界を最初のパ ワーマックの時代、それこそ10年ぐらい前からいろいろ見てきてはいるんですね。世の中のカメラマンはいつデジタル化しようかとか、そいういう機械的な側 面ばかりとらえているところに、Satoboさんがものすごいパワーで作っているな、という事を肌で感じていますね、いつも。こんな壮大な作品はなかなか 出来ないですよね、50ギガは越えているらしいですね。

五野:
Satobo さんの技術もさることながら、そのインサイドにあるエモーショナルな部分、今のアーティストとかコンピュータでいろいろ作ってきた人だと技術ばかりが先行 しちゃっている部分があって、それよりもっとハワイで感じたこととか、僕はこう思っているんだよ、ということが内面から出ている作品だと思うし、色遣いも そうだし、ストレートにSatoboさんの内面が出ている作品ばかりだと思うし、そういう所を見て欲しいですね。

Satobo:3 人に共通する部分だと思うんですけれど、本当にハワイ自体が非常にパワフルな土地で、そこに3人が呼ばれている、ただ自然に呼ばれている事に我々は答えて いるだけというそんな感じがしますね。ハワイ自体が素晴らしいんで。僕らがなにかたいしたものなのではなくて、そのハワイの素晴らしさを感じて呼ばれてハ ワイへ行って、そして何か表現しているだけにすぎない、共通しているところは、ハワイに呼ばれているということです。

−非常にアナログ的な島というハワイを、例えばマックだとかキャノンだとかデジタルなものを使って表すという逆感、写真だったらフィルムで撮って普通に印 画紙で印刷してという方が合うかもしれないとか、気持がアナログのままいくのかな、という気もあるのですが、その辺のギャップというのは、そいういうのは 全く関係ないのか、あるいはギャップがあるからこそ表現できることがあるのか?

Satobo:何もこだわったことはないですね。

平山:一番使いやすいものを使っているだけですね。

−途中に介在するものは関係なくて、できあがったものがどういうものが出てくるか、という事ですね。
Satobo:やりたい事は技術的な事ではなくて、あくまでもハワイが呼んでいる、ハワイのパワーが自分の中に溢れてしまうので、その溢れた部分を作品にしたいというだけなんですね。

五野:ほんとうにそうだよね。

−さきほど、「カメラマンが今、アナログかデジタルか悩んでいる」というような事の答えはおのずとそのへんに明確に本来はあるはずだと。
平山:そういう話はもっと気持の話だと思うんですね。

−デジタルかアナログかという話ではなくて、どっちでもいいかなという話ですよね。
Satobo:今 まで過去を見ても油絵が出てきて、歴史の中で新たに水彩でてきたりとか、アクリルが出てきたりとかそういう時かはみなさん抵抗を持ったと思うのですが、今 はそういうものが全て認められていますから、デジタル文化も今後そのように当たり前に認められますから、変わったものでも何でもない、あくまでも新しく与 えられた表現システムだと。

平山:一 番モダンな表現システムですけれど、デジカメも今は日進月歩ですよね。そんな中で例えば自分の記憶色っていうのがありますよね、ハワイを見てきて自分の心 にとまった色、想いが、冬だったら灰色の東京に帰ってきてそれを頭の中で想い描くのですが、その時にフィルムだと出せなかった色っていうのが自分なりにコ ントロールできる、それが一番大きかったですね。見たものをそのまま出したいというだけの、それが自分で出来るという事でデジタルにいっているだけなんで すね。ですからそのへんは気持の問題ですね、便利という事もあるのですが。

−例えばSatoboさんの作品を見せていただくと、非常にスピリチュアルな部分っていうのが見えている、作っていると思うのですが、そのへんはハワイか ら感じるところがあるのですか?
Satobo:や はり私は北海道に住んでいて、北海道も非常にきれいなところなんですが、いろんな色というのがハワイに比べるとわかりづらい。自然を司っている大きなパ ワー、それが非常にわかりやすく顕著に現れているのがハワイだと思います。私も非常に単純な人間なのでわかりやすい方がいいので、北海道よりはるかにわか りやすいハワイをテーマにしているんですね。

−今回はカウアイ島をテーマにされていますが、島が変わるとやはり表現も変わるのですか?
Satobo:変わると思いますよ。カウアイに行くと自然の中にとけ込んで、ここにいるとパワーがたくさんあって恐いぞ、というものを感じますね。オアフもそうですけれど、カウアイの場合はそれをより感じますね。

−ハワイ島はどうでしたか?
平山:地 球が生きている、っていう感じでしたね。それをまさに実感できる場所というのが率直な感想です。まず溶岩がどろどろ流れているわけですよ、斜面から赤い溶 岩が流れていて、道路もその溶岩流でクローズされているところをハイクするんですけど、ガラス質の上を歩くので靴もぼろぼろになって、レンジャーの人に 「今日は何マイル先に流れているよ、水を持って行けよ」なんて言われながら、カメラと機材をバックパックにかついで、まずは懐中電灯を持って夜に行ってい たんですよ。ちょうど月が出ていない週だったので、満天の星空が見えて、溶岩流と風の音しか聞こえないんですよ。地面から、もあーっと熱が出ていて、地球 がちゃんと生きているのを感じて。都会に普段いると感じないですよね。
夜中に行くと、家族連れだとか懐中電灯を持って連なって歩いている人がいるのですが、深夜に行くと全くと言っていいほど人がいなくて、その感じがすごいん ですよ、地球が活動している真の姿なのでしょう。そこにぽつんと一人でいる感覚というのは、なにか宇宙にいるような感じで、そういう感覚を表現したいなと 思って。
今回のねらいは、僕の見たままを全部、ノートリミングでほぼそのままで出しています。朝日が出た時と日没の時など一番ドラマチックな時間にシャッターを押 して、だいたいの作品がそういう時間にとっているのですが、日が昇ると風がばーっと動いたり、そこまでは写らないのですがその風を表現できたらいいな、と いう気持でしたね。本当に地球が生きているというのを感じられるのはハワイかなと。

−五野さんは、今回のテーマはサーフカルチャー?
五野:このテーマはずっと書きたかったテーマで、今回やっといいチャンスで、ここのハートランドも大人の雰囲気なので、いろいろなキャラクターのスタイルがあるのですが、今回はサーフカルチャーをテーマにしてみました。

Satobo:こういう絵はもしかすると日本にいても書けるのかなと思っていたのですが、そうではなくて五野さんは実際にハワイへ行って空気を感じてきてスケッチしてくる、という感じですよね。やはりそのパワーはダイレクトですよね。

−世の中には昔からコラージュというものはあって、人のものを持ってきたり、あるものを持ってきたりして自分の考える世界を作るわけですが、それでは駄目 なんですか?
Satobo:一緒だと思いますよ。

−その場にいないと駄目、その場で自分で撮ってこないと駄目?
Satobo:そ れはもちろんそうです。自分で撮して自分でプリントアウトまでするというのが原則ですね。それがデジタルのいいところで、昔のアナログの世界ですと現像所 任せで、ぽん、と出して自分は撮すだけ、それっておもしろくないですよね、半分写真の楽しさを奪われている、だから今デジタルになると、撮すところからプ リントアウトするところまで自分の責任管理で全て表現することができるのでデジタルは素晴らしいと思いますよ。

−50ギガぐらいあるあの絵は、何枚ぐらい素材としては入っているのですか?
Satobo:300枚ぐらいのデータですね。


五野:
作っている途中で見るとおもしろいですよね、パズルみたいで。

Satobo:一 枚一枚の写真というのはもともとそこにある風景ですし、神様が作った立派な風景なんですよ。それを僕が盗んでくるわけにはいかないので、ちょっと借りてき てもう少しわかりやすく表現することによって、神様が作ったものを「素晴らしいでしょ」と褒め称える、そういう方向です。

−いろいろなものを撮ってきて、全く違うものを作るのではなくて、ハワイにあったそのものがよりわかりやすく人に感じてもらうために組み合わせていくと。
Satobo:そ うですね、今ここで流れているのが、「KROON」というハワイ出身の歌手なんですけれども、今年の1月にカウアイ島で知り合ったんです。彼の歌詞の中に 素晴らしいヒントがたくさんあるんです。彼の曲も非常にスピリチュアルでハワイを愛している、その歌詞にずいぶんインスパイアされてそれを表現しようとい うのも確かにあります。ちょうど今のこの曲があのでかい作品のヒントになっているんです。

−だいたい1つの作品にどのぐらいの期間がかかるのですか?
Satobo:だいたい1つの作品が延べにすると1か月ですね。年間10から12の作品ぐらいしか作れませんね。

五野:初めて平山さんの作品を送ってもらった時、インパクトがすごかったですね。出来た絵の深みがすごいなと感動しました。表現のバックボーンにあるもの、ハワイの事をいろいろ勉強しているということもすごく感じられましたし。

−不思議な組み合わせですよね、二次元的なイラストと写真と。それぞれがハワイを描くという組み合わせが。
Satobo:例 えば平山さんの作品で枯れ木の作品がありますよね、あの溶岩の新しい土地の中で枯れ木があってその下をよく見るとオヒアが新しい芽をちゃんと出している。 それを見ると平山さんが切り取ってきた一枚の写真の中にハワイ島の新しさとか将来を予見させるようなものが全て見える。これはとても素晴らしいですよね。

五野:平山さんの満点の星空の下に溶岩がある、あの写真もすごく感動しました。ハワイってこういう切り取り方もあるんだなと。普通の人が見えていないハワイを違う3人の目で見ることができて、もっと違うハワイが浮き上がって見えてくる。

平山:最初に3人でお誘いいただいて、どうなるんだろうと正直思って。でも責任重大だぞと。

−僕らもこういう事をやっているので、ハワイの写真をよく見るのですが、奥が浅いというのか中途半端になっちゃってるというか。これだけディープだという のは珍しいですよね。
五野:表現は全員違うんだけど、そのボトムにある部分はある意味つながっている、感じる部分、心地いいなって思う部分が似ているから、見ている人も安心なのかな。

Satobo:見えるんだよね。

五野:そうだよね、人間はすごく五感が発達しているから、表面に見えている以外のものも感じるんだよね。

Satobo:二次元のパネルの向こう側にあるものを是非みんなで感じられればという表現をしているんですよね。その二次元の向こう側にあるものが共通しているんですよね。

平山:3人で集まって打ち合わせした時に、ハワイから空気を持ってきてここに再現しようなどと大きいことを言ったのですが、それが少し出来たかなと。

−ハワイの本などを読むと、どの本も結論が最終的に一緒になっている気がするんですよ。結語がみんなほぼ共通という。そういう場所ってほとんどないじゃな いですか。北海道でもアメリカでもいいんですけど、書いた人によって結論が違うんだけど、ハワイに関しては、特に日本人が書いたものに関してはどんなルー トをとってきても結論が一緒。それはさっき言っていた、ハワイはわかりやすいという、何かがある、それは日本人にとってわかりやすいんですか?世界中の人 共通でわかりやすいんですか?
平山:たぶん共通でわかりやすいと思います。アメリカ人が書いた本も結論は同じでしたよ。

Satobo:海外の人が書いた各島のブルーのガイドブックがあるんですが、それは文章が素晴らしいんですよ。日本人が書いたものよりもはるかに深い事を書いている。やはり世界中から黙っていてもみんなが遊びに来るところっていうのはハワイですよね。

五野:旅行通が最後に行くところ、この間も外国に長く住んでいて世界中を旅行している人がそう言っていました。

Satobo:ハリウッドの映画を見ても、ずいぶんたくさんカウアイ島で撮影をしているんですよね。この前感動したのは「南太平洋」という映画がカウアイ島で撮影したんだというのを知って、バリハイという歌詞の中に、「ハワイが呼んでいる」というのがあって、泣けましたね。

−今後もハワイにかかわった形で3人それぞれ?
Satobo:僕 は一生のテーマですね。人間そんなにいろんな事は出来ないと思うんですよ。だから10年ぐらい一所懸命やればいいのかなって。その中で出来ることというの は、あまりあちこちの事はできないので、ハワイに集中して、ハワイに愛されながらやっていくのが一番いいのかなって思います。

平山:ス タイルは変わるかも知れませんが、ハワイについてはいろいろと撮り続けて行きたいですね。人間を撮るのも実は好きで、風景写真というのは意外と苦手で、時 間とかタイミングとか一瞬5分しかない光とか、そこに偶然鳥が来たとか、自然界のものをいただいて撮るので、ずっとそこに住んでいてハワイを愛していて、 という人になかなか勝てない部分があるのですが、東京にいながらもちょこちょこ行って、これからも撮りためたいなと思っています。人間の文化もいろいろと 撮っていきたいなと。日系人もいるし、ロコの人もいるし、共通するスピリチュアルな部分もおもしろいので、そういうところも狙って撮ってきたいなというの が今後のテーマですね。

五野:僕 はサーフィンやそういうものを中心とした見方ですね、サーファー独自の視点でハワイをどう感じるかとか、ハワイを通してということを。もっと伝えたいのは ハワイの大自然のすばらしさをわかりやすい形でみんなに伝えていきたいですね。日系人の方の、今の日本人よりも日本人の魂を持っている、そういうものも形 にしていきたいですね。

平山:昨 日京都に清水の舞台でのコンサートの撮影の仕事で行っていたのですが、昼間由緒あるお寺でふすまなどを見て観光していたんですけど、Satoboさんの作 品だな、と思って。Satoboさんの作品は色彩鮮やかだけれど、わびさびとかが絶対に入っているじゃないですか。ハワイへ行った日本の人たちの文化はお もしろいなと思って。今日もSatoboさんの3枚の作品を見て、屏風とかふすまとかのような感じがあるなと思って。

Satobo:食べ物もアジア全体がだいたい同じで、ハワイもマグロがおいしかったり、タロイモも沖縄へいくと田芋といって主食になっているし、ハワイもアジアなのかなと思いますね。アメリカではないんじゃないかと。

五野:た しかに。たまたまハワイで出会ったおばあちゃんが、「お盆の時は海に入っちゃだめよ、あなたサーフィンやっているんでしょ、足をひっぱられるから」って 言ったり。「あれ、どっかで聞いたことがあるな」って。そうだよな自分のおじいちゃんおばあちゃんが言ってたことと同じだよなと。そういう事を二世のおば あちゃんから言われたりとか。おもしろい。そういう日本の文化というのが向こうに行っているということも、ハワイへ行って心地よいことの一つなんだなとす ごく感じます。


Satobo:
リラックスできるよね、言葉のストレスで胃が痛くなるような感じではないですよ、ハワイは。

五野:そういう心地よさをもっと伝えたいよね。

Satobo:作 品を作っていてよくアーティストなんかはその創作意欲が枯れるっていう事をよく言いますよね。自分が作っているんだということを主張してしまうとたぶんそ こにはすごく無理があるのだけれど、ハワイが呼んでいる、ハワイが僕らを愛してくれているということを感じながらその自然、あるいは土地に対して謙遜して ついていくという感じであれば創作意欲は枯れることはないですね。ハワイはそのもの自体がパワフルでいつも動いていて、いつも驚かせてくれますから。僕が 作ったんだとかはとんでもないですよ。地球全体がほんとはそうなんですけれどね。

−日本も本来はそうなんですけれど、日本が失ってしまった原点みたいなものがハワイにはあると。
五野・平山・Satobo:そうですね。

最後に皆さんにお聞きしていますが、ハワイでお勧めな場所などを教えてください。
Satobo:カウアイ島でしたらレンタカーを借りて自分でドライブされるのが一番いいのではないかと思います。

平山:ビッグアイランドの溶岩流のところに是非夜中に行って星の動きを見ながら地球から流れ出る溶岩を見ていただきたいですね。ちょっとクサく言うと、人生観が変わるかな、と思います。

五野:ワイマナロ、ナロービーチという所があるのですが、すごくキレイで、ぼーっとできて心が癒やされるんです。そこがお勧めのところなので、是非行ってみて下さい。

−長い時間ありがとうございました。


─ありがとうございました。
(2005年9月ハートランドにて)
協力:キヤノン販売株式会社


information

■Sweet Conversationウェブサイト
http://homepage.mac.com/artjam/

■五野マサヒロ / 平面・立体グラフィックアート
http://www.hadowin.com
■平山ジロウ / デジタル写真
http://www.gravity-graphics.com
■Satobo / アコースティック・デジタル・アート
http://www.love-peace-happiness.com